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Past Exhibition

 

北代 省三

 

2017.3.6 - 3.24

出品リスト

Ⅰ . 1950 年代後半を中心に撮影された写真のモダン・プリント25 点。
 プリント制作は2015 年小平雅尋氏によって行われた。

 
1. 丸の内 赤煉瓦街| 18.8×28.2 cm
2. 自動車についての美学| 1956 年| 19.4×28.1 cm
3. 自動車についての美学| 1956 年| 19.2×28.2 cm
4. 巷の雨| 19.3×28.2 cm
5. 舗道(『アサヒカメラ』1959 年6 月号より)| 22.2×24.3 cm
6. 街のたたずまい| 19.3×28.1 cm
7. 線の構成/曲線| 1957 年| 19.2×28.2 cm
8. 『週刊新潮』1956年12月10日号「晩秋素描 連作」より| 27.0×18.3 cm
9. 『 アサヒカメラ』1958年8月号「議事堂のある風景」より| 19.1×28.1 cm
10. 東京ガス制圧所(『婦人之友』1958 年1 月号より)| 28.2×19.3 cm
11. 『芸術新潮』1956年10月号「東京の美学(二つの視覚)」より| 29.1×19.0 cm
12. 塔(『美術手帖』1957 年5 月号より)| 28.2×18.3 cm
13. 給水塔(『アサヒカメラ』1957 年6 月号より)| 27.0×20.9 cm
14. 厚生年金会館| 28.1×18.8 cm
15. 『芸術新潮』1956年6月号「新しき視覚の誕生」より| 25.0×21.5 cm
16. 傘のなか(『アトリエ』1958 年8 月号より)| 23.2×25.2 cm
17. 窓(『オリンパス・フォトグラフィー』1959 年5 月号より)| 19.9×28.0cm
18. 丸の内 赤煉瓦街| 1956 年| 28.1×19.3 cm
19. 舗道| 1956 年| 19.3×28.1 cm
20. 丸の内 赤煉瓦街| 1956 年| 19.7×28.2 cm
21. 巷の雨| 1956 年| 19.3×28.1 cm
22. 街のたたずまい| 1956 年| 19.1×28.1cm
23. 舗道| 1956 年| 19.2×28.2 cm
24. 街のたたずまい| 1956 年| 19.1×28.1cm
25. 街のたたずまい| 19.3×28.1cm

雑誌に掲載された作品で、タイトルが明記されていないものについては、書誌情報のみを記した。また、撮影年 は判明しているもののみ記載した。なお、技法は全てゼラチン・シルバー・プリント。

Ⅱ . 新居浜高等工業学校在学時(1939-1941)、卒業アルバム制作
  のために撮影された写真4 点。
  技法は全てゼラチン・シルバー・プリント。


展覧会概要

 舗道を行きかう人の歩み、その残像。丸の内、池袋、永田町、1950 年代の東京の風景。ボンネットに映りこむ並木。雨。立ち止まって見上げた空。
 1956 年に写真家への転向を表明した北代省三は、カメラを片手に東京の街を歩きまわり、戦後の復興から変化をはじめた都市と、人々のふとした表情をとらえたスナップを数多く残しています。1948 年に抽象絵画の画家としてデビューし、カルダーのモビールやモホイ・ナジの仕事に触発され、「実験工房」でインターメディアな活動を模索したのち、写真という新たな表現メディアにのめりこんだ数年間のことです。
 北代が写真に取り組み始めた1950 年代の仕事は、当時のプリントが失われていたことから、川崎市岡本太郎美術館で開催した2003 年と2013 年の回顧展では、ご遺族のご理解のもと、「線の構成」(『芸術新潮』1956 年9 月号)や「東京の美学」(『芸術新潮』1956 年10 月号)などの主要なシリーズについて、残されたフィルム(北代省三アーカイブとして2005 年に寄贈)からモダンプリントを制作しました。
 しかしそれ以外に、『アサヒカメラ』等に単発で発表された写真にも、北代ならではの表現と視点、くり返し追及されたテーマがあり、写真の仕事全体を俯瞰するうえで、プリントを作る必要性が高いことは課題として残っていました。今回、ご子息の意向で制作されたモダンプリントは、1950 年代から60 年代初めまでに雑誌等で発表されたものに加え、後年に北代自身が発表を前提として作成した紙焼きから選ばれたものですが、図らずも街のたたずまいを捉えたものが多く、作家がファインダーをのぞきながら歩いた東京の空気と、写真への取り組みの原点を感じさせるようです。

佐藤 玲子 (川崎市岡本太郎美術館 学芸員)